1・・・昼夜逆転

今年8月京都で開催された「不登校・登校拒否を考える全国のつどい」に、全国から悩める親御さんが来ていました。
 そこで出会った親御さんたちの話から、全国どこでも子どもが不登校になったとき、同じような問題で悩んでいることがわかりました。
 そこで、京都・山科を活動拠点にしている「親子支援ネットワーク♪あんだんて♪」からみえる不登校の子どもたちが元気になっていく姿は、どなたにでも参考にしていただけるのではないかと思い、長年多くの子どもを見てきた経験から「○○であっても大丈夫」のメッセージを送りたくて「不登校を考える」シリーズを書いていくことにしました。

今日は、昼夜逆転について


 学校へ行けなくなり、家で過ごす時間が長くなるにつれて、夜なかなか眠れず、朝は逆に起きられなくなる子どもさんが多いです。
 小学生の間は、まだ親の意向で朝起きていられる子どもさんもいますが、思春期になると大抵の子どもさんが朝起きられなくなり、昼ごろ起きるようになります。(この辺りにも、子どもの親離れがうかがえます。つまり成長の証。)
 その理由として、
 朝はみんなが学校や会社に行くので、周囲のざわめきがつらく感じる。学校へ行けない自分を意識させられる。
親が今日は行くのではないかとなんとなく期待して見ている目を感じてしんどくなる。
 夜は、明日は学校へ行かなければと思うと、なかなか眠れなくなる。
夜、悩むことが多く、寝つかれない。

など、色々な葛藤があり、自然に昼夜逆転していきます。


それなりに、不登校の生活が家庭で安定して過ごせるようになると、家の中でたった一人で起きている時間が、落ち着いて好きなこと、やりたいことができる貴重な時間になります。
ゲームやPCに熱中していることもあるでしょう。
絵が好きで、静かな夜に集中して描いていることもあります。
好きな本を思いっきり好きなだけ読むことができます。
深夜ラジオで新しいカルチャーに接することもあるでしょう。
自分のこと、親のこと、学校のこと、などなど深く考えていることもあるでしょう。

言えるのは、昼夜逆転を否定して、夜寝るようにしなければと焦って努力しているうちは、なかなかしんどさから開放されず、エネルギーが充電できないのです。

私自身の子どもが不登校だったとき、成長期に何年も昼夜逆転していれば、ホルモンのバランスも崩れるのではないかと心配もしましたが、
自責の念が強かったり、不安や焦りが強いとき、精神的な安定のためには、体の要求のままに起きたいときに起きて、眠たくなったら寝るという生活が一番安定し、親子のコミュニケーションもよくなります。
不登校を知らない人から見れば、なんとだらしのない生活だろうと思うでしょう。
親ははじめうちは、そんなわが子を見ているのもつらいので、一生懸命に朝起こしますが、
起こす方も大変なら、起こされるほうも不安定になり、どんどんしんどくなります。
それで、いつか朝起きて夜寝るという普通の生活に戻れるのだろうか?と心配されて当然だと思います。結論を言えば、戻ります。どんなふうに戻るかは、次回にお話しますね。


 カウンセラーでも、昼夜逆転を治さないと学校へいけるようにならないから、まず朝起きられるようにと、生活改善を指導される方もいます。
 でも、不登校というのは、学校へ行くことを体が拒否しているから行けない、つまり潜在意識が行きたくないと言っているので、原因と結果を取り違えているのではないかと思います。心理を学んだ人がどうしてそんな誤解をするのでしょう。
 学校へ行けなくなる子どもは、それまでにも生活が乱れていたから不登校になったと思われているのかもしれません。親のしつけに原因があると見られているのでしょう。そして、そういう方にカウンセリングされると、親御さんはとても傷ついてしまいます。


 百マス計算で有名な陰山先生は、早寝早起き・朝食を食べる子どもは学力が高いというデータを出しておられて、不登校の増える背景にも幼少期からの生活習慣の影響が考えられると言っておられましたが、それには大きな?がつきます。
 確かに、乳幼児を父親といっしょにお風呂に入れたいと思えば、今の長時間労働の父親を待っていたら、夜遅くまで起こしていることになります。父親とのスキンシップを大切にしたい、しかも子どもを早めに寝かせたいとなると、企業に長時間労働を改めてもらうしかありません。その点では、陰山先生のご意見を支持したいですが、その問題と不登校を結ぶつけるのは違うように思います。
 
 なぜなら私が今まで出会ったほとんどの子どもたちは、陰山先生のおっしゃるような安定した生活習慣で育ち、学校に行っていた間、学力が高い子どもたちだからです。
 逆にそういう子どもたちがどうして学校へ行けなくなり、こんなにも苦しむのか尋ねてみたい気がします。

つづく