ニート、フリーターを個人の問題で片付けてはいけない2

前回のつづき。(8月17日に書いてます。)

1、正社員の働き方、働かせ方を変える。
辞令一本で単身赴任を強いられるような配転の問題。
つねに恒常的に長時間働く残業の問題。

(父親不在の子育てが、子どもに及ぼす影響はかなり深刻だと思う。
父権の回復とかいう前に、父親と過ごす時間がまず必要。
厳格な家父長権の強い家庭で育った老婦人(80歳以上)の話では、
子どもの頃、悪いことすると押入れに入れられて恐い思いもしたけれど、
勉強を見てくれたり、いろんなところへ連れて行ってくれたり、
こまごまと子どもの面倒を見てくれたらしい。
子どもと過ごす時間を大切にしているから、
恐い一面も子どもにとっては、なつかしい場面になっている。)

2、正社員と非正社員のバランスをよくする。

以上2つのポイントをどうやって改善するか?

これは「悩ましい問題」なんだそうだ。(ああ、がっかりするね〜。)

○ドイツ、フランスなどヨーロッパ的なやり方は、簡単に言うと「法律で強制する。」
日本では、法定労働時間は週40時間と決められていて、それプラス残業時間。
ヨーロッパでは、法定労働時間と残業時間を合わせた「上限時間」が定められている。
上限時間は週48時間。つまり、週8時間しか残業できないことになる。
これに加えて、1日の仕事が終わって、次にでてくるまでの間に必ず休ませなければならない「休息時間」
が定められている。これは11時間。
前の日に遅くなって、12時まで働いたら、次の日は11時まで来てはいけない。

格差問題も、フルタイム労働者とパートタイム労働者の賃金は時間比例。
ボーナスも、退職金も全部平等に時間比例で保障する。
賃金だけでなく、福利厚生とか企業が与えている権利とか利益は平等に保障しなければならない。
期間の定めのない労働契約で雇われている人(正社員)も、
期間の定めのある労働契約で雇われている人(臨時社員など)も、
平等に扱いなさい、となっている。
正社員と派遣社員の平等。
日本だと、雇用主が違うのに、賃金が同じなのはおかしい、という発想だが、
EUでは、正社員と同じ賃金を社員に渡して、派遣先の会社からは、賃金プラスマージンを合わせて請求する。
日本だと、コスト削減のために派遣を使うが、
EUは、コスト削減のために派遣を使わないという発想。
では、どういう場合に使うのかというと、
1、スポットとして。
 産休、育休をとる人の休んでいる間のスポットとして派遣社員に来てもらう。
病休の人の休んでいる期間を埋めるためにきてもらうとか。

2、より専門性の高い人、より技能の高い人を求めて。


英米アングロサクソン的なやり方は、
基本的に法律ではなく、市場で調整する。
差別をしてはいけないが、
労働契約、労働条件の内容は自由に契約できる。

アメリカでは、会社も自由に解雇できるが、働く人もいやだったらやめて条件のいいところに転職する。
転職市場が整っている。出入りが激しいから、過労死、過労自殺する前にやめて転職する。
格差の問題は、正社員も非正社員も企業の中ではなく外部の労働市場で賃金が決まるから、日本ほど格差が生じない。

でも、アメリカの場合、正社員と非正社員の格差というより、
貧困層と富裕層の格差がすごい。
それは、能力があるかないかで決まるが、
能力というのは、教育を受けられる経済力が生まれた家庭にあったかどうかも
含めて考えなければならない。
要するに親の世代の資産格差が次世代に引き継がれていくという問題。
(日本もだんだんそうなりつつある。
それに加えて、正社員と非正社員の格差もある。)

日本では、正社員は企業の論理で企業の中で賃金制度が決められているが、
非正社員は、企業外部の労働市場で決められる。
処遇を決める論理が違うので、格差は一向になくならない。

日本では、どの方法が可能か?

EUのように法律で規制しようとすると、
今でも、労働法と実態がかなり乖離しているから、
法律でがんじがらめにすると、実態、つまり違法な状態が地下にもぐっていく。
これには、労働組合の問題もある。
日本の労働組合は、企業別に組織されているため、
競争が激しくなればなるほど、
グローバル化すればするほど、組合が防衛的になってしまう。
企業をこえて、競争を制限し、公正な労働条件を設定する機能がもてない。

英米的な市場に任せるやり方では、
近視眼的な利益、目先の利益にとらわれてしまって、
リストラをやりすぎて、10年後には人がいなくなって、企業経営が破綻するかもしれない。

以上2つの方法以外の
第3の道とは?

先端的な企業の取り組みから学ぶ。

アメリカのD社。15年ほど、大きな人事制度改革をつづけている。
1、女性を活用するプロジェクトチームをつくった。
2、プロジェクトを進めるにあたって、外部の調査機関を使って、
最近会社を辞めた女性40人に辞めた理由を聞いた。
理由は大きく分けて、ふたつ。
1、無意識の性差別意識。2、ハードワークの問題。


以上の克服のために、
無意識の差別・・・人事プロセスの透明化。権限を持った人が人事の理由を公開し、外からのチェックが入るようにした。
ハードワーク・・・勤務形態を柔軟化する。
残業してもいい人。定時で帰りたい人。短時間で帰りたい人。そういう要望をみんなからきいて、
実際に現場のチームリーダーに責任と権限を降ろして、柔軟に調整させた。


その結果、女性の定着率があがり、女性の管理職がでてきた。
同時に男性の定着率もあがった。
女性にとって働きやすい職場は男性にも働きやすいから。
この会社は働きやすい職場だという社会的な評価があがると、
優秀な人材が集まってくるようになった。

(要するに、子育ても含めて人間らしい生活ができるようになったということでしょうね。)


日本でも同様の試みをしている会社が2社あるという。

では、また後日。つづき。